著者/広瀬宏之 発行所/永岡書店 価格/1,200円+税
<こんな人におすすめ>
✅発達障がいについて不安を抱えている
✅発達障がいを正しく理解したい
✅育児に悩む親御さん(特にお母さん)
✅きょうだい(児)の方
発達障がいって?
専門家ですら診断が難しい"発達障がい"を分かりやすく解説してくれた本。
福祉制度の改善によって、近年は耳にしたり、関わったりする機会が増えてきた「発達障がい」。
しかし、それを正しく理解し、説明できる方は少ないのではないでしょうか。
もしも、自分の子どもの発育に不安を感じたら――
目を通しておくだけでも、大切かもしれません。
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自分のこどもが「健康」に生まれてくること。
これは親となるすべての人が当たり前に抱く願望だと思います。
だからこそ「あれ?」と感じ始めた時には、不安でしょうがなくなることでしょう。
今回ご紹介するこの本は、タイトルにある通り「かも?」と思った保護者(主に母親)に向けられたものです。
個々によって症状の程度や幅が広い「発達障害」という病気がわかりやすく説明されています。
「複数の特性が混じったミックスジュース」(本文33Pより)など易しい言葉で伝えられており、医師として告知に気を配ってきた著者ならではの気遣いが伝わってきました。
挿絵にも愛嬌があり、発達障害の生々しい症状を説明するページでも可愛らしい子どものイラストで癒され、抵抗感が和らぎます。
親から寄せられた質問に著者が回答していく「Q&A方式」の実用書。
発達障害児への支援に関わって20年。3千人以上の発達障害を抱える人々と関わってきた著者の経験が並べられています。
1つの質問に対して2ページほどの回答なので、奥深く知りたい場合には少しもの足りないかもしれませんが、読者が発達障害と向き合う「最初の一歩」ならとても読みやすい本です。
特に目を引いたのは「次の子を産みたいのですが、大丈夫でしょうか?」というQ。
2人目も同じ症状を抱えるのだろうか、逆に健康に生まれてきた子(きょうだい児)は上の子との環境に戸惑いを感じないだろうか、という親の不安が表れています。
回答には、遺伝に関する具体的な数値も提示しつつ、希望も手放さない著者の分析と言葉が載せられています。悩める親達にもきちんと選択肢はあるのだということが伝わってきました。
また病気についての知識のみではなく、親戚や教員、PTAとの人間関係のアドバイスも豊富で、人付き合いの多い母親へ向けた書籍でした。
健康に生まれたきょうだい(きょうだい児)への接し方にも触れており、様々な子育ての形が提案されています。
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わたしがこの本を呼んだキッカケは、実の姉と妹が抱える「発達障がい」についてもっと知りたいと思ったことでした。
発達障がいは、「自閉スペクトラム症」「ADHD」「知的障がい」など様々な症状に分類されます。
しかし1人の子どもに対しそれらの症状は混在しており、一概に分類できないこともあるのです。
現に、姉と妹は「知的障がい」と診断されていますが、読後、症状を細かく観察すると「自閉症スペクトラム」も併発しているように見えます。
(20数年前の診断なので、当時は今ほど症状が細分化されていなかったからかもしれません)
きょうだいである私が思うのは、「自分の子供がもし、姉妹と同じ障がいを抱えて生まれてきたら」ということ。
遺伝の可能性については悩みがつきませんが、それでも「正しく理解する」ことは、不安やストレスを軽減させてくれます。
自分の「家族」と向き合っていたいという思いを、そっと後押ししてくれる、そんな内容でした。
永岡書店HP 書籍紹介ページ
https://www.nagaokashoten.co.jp/book/9784522436356/
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